about us

身の回りにあるどんなものでも, 生活の中には必ずデザインされたものがあります。
もしくはそう謳われていない「何でもない」ものや,
どのような経緯で作られたのか分からないようなものまで,
全て意匠化(デザイン)を経て形にされています。

amplogはそのような普遍的なデザインに対して
“編集(Edit)”“意匠(Design)”“構成(Compose)”を施すことで,
身の回りにある価値を別の価値として置き換えながら,
多義的な検証を展開していくウェブコンテンツです。

あまり耳慣れない専門的なサブジェクト, 既に知り尽くされたアイデアやコンセプト,
それらをamplogの視点で再構築し,
ジャンルやカテゴリーにとらわれない創造的なコンテンツを展開していきます。

Review

05 | the lightness of warmth

日常の温度と軽さ 
寺村光輔さんの器のこと

April 15, 2015

だいぶ前のことですが「素敵な事務所は良いお茶が出るんですよ」と、あるグラフィックデザイナーの方が展示会のトークショーで言っていました。う〜ん、なるほどな、と直感的に思ったことを覚えています。それに倣ってというわけではなく(事務所を始めていました)手で挽いたコーヒーを今でも淹れていますが、ちょうどその頃、陶芸家の寺村光輔さんと知り合う機会に恵まれました。お仕事を受けたお礼に頂いた器を、今でも大切に使っています。

事務所に置いてある寺村さんの器はコーヒーカップや酒器など、いずれも手で持って飲むものです。始めて手に取った時の感覚がとても強く印象に残っているので、展示会に行くたびに手の中に収まる器を選んでしまいますが、その中にある軽さと温かさに強く惹かれてしまうからです。

なぜ軽いと思うのか、そして温かいと感じるのか。

最初に寺村さんの工房で譲り受けたのはコーヒーカップでした。次の展示で出品するものだという一品で、手に取る時に少し緊張した記憶があります。形や色や風合い、器そのものから受ける印象は、どことなく硬質でミニマムな作意を感じさせるものでしたが、手に取った時、それまでの緊張をすっと流すような軽快さがありました。鈍い光沢からもどことなく気兼ねのなさが漏れだすようで、手に取る度に心地が変わる、たぶん、そんな日常的な温度感を感じたのだと思いますが、とにかく親近感の湧く印象を受けたことを覚えています。

それまで本格的に陶器に触れた経験はないのですが、今までふれた美術品や骨董品としての陶器は「目にする」というように、いわゆるオブジェとしての民芸品でした。高黒く艶っぽい光を放った、一見して高級そうな印象を与えるそれです。その重厚感のある冷たさとは対極の温度感が、寺村さんの器の端正な仕上がりに込められています。

そのことをご本人に伝えると、「やはり日常的に使ってもらいたいし、使われるという事を強く意識して作っている」とのことで、一聴して納得。もちろんこちらはその作意にまんまと包められているわけですが、それが良いと思わせるフトコロの深さもこの器の特徴なのです。

以来、「素敵な事務所の良いお茶」を出すにあたり寺村さんの器にお世話になっていますが、それを支えてくれているのがこの「軽さと温度」であり、寺村さんの想いの一端であったりします。